こうろぎの鳴いて居りたる湯花小屋 (池田たけし) 重なれる湯の花小屋や谷の秋 (田嶋田比良)と詠まれた明礬温泉の上手にある東組の共同温泉。
古くから開かれていた浴場である。大正四年(一九一五)林通教・溝口信太共著「別府温泉案内には、・・(上略)…土地高燥、眺望無比の勝地である。別府町から一里七合、車駕の便がある…・(中略)…日用品は豊富で、特に生魚は程近い亀川から出来るのでごく新らしい。
浴場は、地蔵湯・鶴寿泉・神井泉・登美湯の四大浴場と、湯瀧及蒸湯がある。と記され、大正十四年(一九二五)稗田武士「別府温泉」には、神井泉は、私有公用浴場で、泉質は硫武酸性泉、地蔵湯と同じく悪瘡やはれものなどに効果があり、入浴料は無料であったことが記されている。
かっては、浴漕二泓の浴場であったが、今は一泓である。
なお、付近には湯の花製造の小屋がある。湯の花製造小屋について、大正九年(一九二〇)板井助松の『別府温泉案内』には、是は山地獄を利用したもので矮屋内に坦を造り白の粘土を塗って置くと地下の蒸気が其れにこされて地上に霜柱の如く結晶するのである。(中略)湯の花一ケ年産額十万余円、(中略)付近には数軒の旅館あり、人力車・自動車の便あり。と記されている。
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場 所